夏雪式のブログ

転生したら世界がカレーだったからアウトドアする。訳がわからないが取り敢えず鶏肉を焼く

夢の夢の夢の夢

抜ける様な青空です。

「お疲れちゃ〜ん!!!!」

いつもの海でみんなで焼き肉。

山の麓で曇りの多いこの浜辺も

今日は珍しく快晴です。

分厚いステーキ肉や粗挽きウインナーを網に乗せて

あっという間に缶ビールが空いていきます。

水中めがねを装備して、脚ひれ装着

野郎共がザブザブと海に入ります。

ヨッシーや女子達は火の番。

あ、クーラーボックス日陰に移動しといてぇ!

海の中から大声でヨッシーに・・・

・・・・・

そこで引き戻されます。

引き戻される?

なにに?

・・・

目に写るのは、フックにかかった点滴、

白いカーテンで囲われたベッド。

「起きた?なんか夢見てた?寝ながらにやけてたけど」

ベッドの横で妻が冷蔵庫にジュースをしまってる。

「ああ・・・。」

ここは病院?

そうだ。私は長い事入院している。

「夢?ああ、夢・・見てたよ。健康な時の夢だ」

体を起こし、スリッパを履く。

妻は自分の好物のアイスを大事そうに冷凍庫に入れながら

「へー、友達と良く行ってたってアレ?

大丈夫だって。また行ける様になるから」

「まあーあんな馬鹿みたいには遊べないけどなぁ」

点滴のスタンドを杖代わりに立ち上がり窓の外に目をやる。

寒々とした秋の景色が広がる。

「なんかあの頃って俺の仕事も暇だったし、

タイミングいい事にみんな暇な時間がとれてねぇ。

暇さえあれば海とかで焼き肉してたわ。

連チャンで朝まで遊ぶのざらだった。阿呆みたいに元気だったわ」

振り返って椅子に座ってる妻を見る。

「そんな遊び方、年齢的に無理だよおっさん」

上目遣いで毒づく。

「はーいはいはい。おっさんが煙草を吸いに出動しますよ〜」

「私も行くわ。」

いびつな音を出す点滴スタンドに掴まりながら

静かな廊下を二人で歩く。

ベッドに寝て天井を見続けている老人。

体を起こして固まっているおばさん。

お菓子の散らかったベッド。

通り過ぎる病室に見える景色はいつもと変わらない。

妻の顔を見る。妻とはもう結婚して・・・

結婚して?何年になる?

・・・

顔・・・?妻の顔・・どんな顔だった?

・・・・

・・

現実に戻った。ベッタリと寝汗に濡れたシャツが張り付く。

まだ夜中だ。パラパラと雨音が聞こえる。

くるりと隣を見る。

薄明かりの中ベッドにいるのはどうやら自分一人。

・・ヨッシーは実家に帰省中だっけ・・・

ああ・・喉が渇いた・・・。

もそりとベッドから起き上がり台所に行く。

蒸し暑い。水を飲むとプツプツと汗が湧いてくる。

奇妙な夢を見た・・・・

夢の中で夢?小説じゃ有るまいし・・・

ああ・・蒸し暑い・・

部屋に戻り、ギィ・・・と窓を少し開ける。

雨の匂い、土草の匂い。顔に雨粒がトツトツ当たる。

この部屋の窓は開けれないか・・・

ベランダの窓開けるか。

ミシッ・・・薄暗い居間の床がきしむ。

なんであんな夢見たのかは想像がつく。

リウマチの事が気になってたんだろう。

一際暗い和室を覗く。

遮光カーテンなので他より明らかに闇が多い。

引っ越した当初はここにお婆さんが座ってた・・

・・・様に見えたんだよなぁ。

畳の冷たい感触がひやりと足の裏に伝わる。

ベランダのカーテンを す・・ と開ける。

窓の外はぬらりとした闇

・・・・

・・

目が覚めた。

明るい光が目に飛び込んでくる・・・

・・・ここは?ベッドの上・・・

どこのベッド?

どっちの世界?

・・白いカーテンと点滴。

「なんだ、ああ・・俺、昨日熱が出て・・それでうなされて・・」

体が膨張している感じがする。

目で見える体の境界よりさらに膨らんでいる。

「誰もいないか・・」周りを見回して

「夢で夢って・・混乱してきた・・」

ため息をつきながら時計に目をやる。

7:25

デジタルが点滅を・・・

ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ

アラームの音が響きます。

もういい加減目を覚ますのが嫌になりました。

本気で嫌になりました。今度はどっちの世界?

隣でヨッシーが「早くアラーム止めろよ」と

無言のプレッシャーを送ってきます。

何でもいいけどなに?これ夢?ってか病院?じゃない?

ってことは?

何が何だか判らないままアラームを止めて

寝ぼけながらふらふら立ち上がり

「変な夢見てた」

と、お約束で顔をぺちぺち叩いてみました。

痛い。現実。

そしてこの後会社に行かなければ行けないという嫌な現実

「俺まだ混乱してんだけど」と独り言をいい

後でメールで教えてやろう、ちょっとアレだ忘れたら困るから

今の夢反すうしなきゃ。

ちゃんと思い出して記憶に定着させなきゃ忘れる。

と言う出来事があったのはいつだったっけ。

多分2〜3年前

で、もしかして本当の俺はまだ病院のベッドの上にいて

これを書いてるという夢を見てる?

なんで今頃この話かというと

次回に続く。