夏雪式のブログ

転生したら世界がカレーだったからアウトドアする。訳がわからないが取り敢えず鶏肉を焼く

夢の夢の夢の夢 その2

目が覚めた。

しばらく何が起きたのか理解できなかった。

理解できない・・と言うより

「覚めた」と言う事に対して戸惑っていた。

さっきまで自宅にいたはず。

ヨッシーハルタは実家に帰省中で

あと数週間で迎えに行く。

で、そこで目が覚めた。

目が覚めて気づいた。明らかにそれは夢の中の話だった。

「よっしーと結婚して、今ハルタという子供がいて

最近自宅を購入して、二人が帰省中のつかの間の独身生活」

と言う「設定」で

「二人に会いに行く日を心待ちにしながら

一人で悠々自適にウッドデッキの補修をやって」

いる日常の夢だった。

あまりにも明瞭としていて、それが夢だなんて

疑う余地もないほどリアルだったのに、

いざ目が覚めると途端に霧の向こうにあるかの様な

実体のない脳の中だけの出来事だったと気づく。

それほど夢と現実の境界が理解できる。

しかし「夢だった事に驚く」ほどリアルだった。

隣の部屋が騒がしい。まだ日曜の朝7時だ。

今年中学生になる娘と小学3年生の息子。

今日は高速に乗って家族で登別のマリンパークニクスに行く約束だった。

息子の部屋で助手席には誰が乗るかもめている様だ。

大きなため息が出る。

こう・・胸にぽっかり穴の開いた様な

喪失感というのか・・・

歯を磨きながら思い出した。

そういえばそんな夢の中の夢って言う夢を

以前に何回か見たよな。

その時は入院してたんだっけか?

・・

夢の中じゃ夢って気づけないのかなぁ。

いや、小さい頃トイレでおしっこする直前に

「待て!これ夢だ!」って気づいて

おねしょを回避した事有ったっけ。

それにしても・・・

「朝っぱらからため息やめてよ。ため息つくから不幸なんだよ。」

嫁が横目でチラ見しながらサラリと非道いことを言う。

「しかもそこに立ってると陰で暗いんだけど」

化粧の邪魔になるからどけろ・・・と言う事だ。

「リアルな夢見てさ。」

「へー。」

興味無さげにもほどがある。

「リアルって言うか・・夢の中の設定みたいなの?

それがやけにリアルでさぁ」

ファンデーションを塗りたくりながら

「夢なんてみんなそうじゃない?」

その通りだ。

「心待ちにしてた二人に会えないまま目が覚めたから

なんか・・・こう・・寂しい感じなんだよね」

「・・何言ってるのかわかんない」

その通りだ。

かいつまんで夢の話をする。

・・が、多分右から左に抜けてるんだろうなぁ。

嫁の意識は今「まつげ」に集中してる。

念力でスプーンでも曲げれそうな顔つきでまつげを挟んでる。

「じゃあ挨拶でもしたかったの?

でも挨拶しに行くなら今じゃなくて今夜とかにしてね」

軽く流された。と言うか要所まとめ過ぎ。

洗面所に居るのを諦めて、長女が焼いたトーストに食い付く。

「まあ他人の夢の話ほどつまらない物無いからなぁ。」

「夢?夢見たの?どんな夢?僕ね今日夢見たよ」

息子が食いついた。

しかし人に聞いておいて自分の話をするなよ・・

独り言のおかげで荒唐無稽な話を聞かされる羽目になった。

慌ただしく準備が終わって、意外にスムーズに高速に乗れた。

そういえば先週砂川SAに行ったとき

覆面2台も走ってたな・・気をつけよう。

「私、前に行った時覚えてるよ。」

助手席の娘が脈絡もなく話し出した。

「は?何の話?どこに?」

「ニクス。小っちゃい頃行ったの覚えてる。」

今も小っちゃいけどな。

「雨降りそうで、パパもママも傘もって無くて

でも傘売り切れてて、傘ばっかり探してた。」

「あー、向こうの天気が悪いなんて思いもしなかったからなぁ・・

って今日もしかして・・」

「大丈夫。天気いいよ」後ろでドヤ顔の嫁

   「ママママ、こないだねクラスの高橋がね・・」

・・・そういえば夢でもこんな感じで歴史が有ったんだよな

もう一回同じ夢みれないかな。

やっぱり合えないままお別れってのも寂しいしな。

「居眠り・・じゃないよね?大丈夫??」

嫁の言葉で我に返る。

「いや、考え事してたー。大丈夫だよ」

日曜日なので車の量が多くなってきてる。

追い越し車線を80キロ以下で走る車。

「頼むからサタデードライバーは高速乗ってくるなよな」

「何それ?何ドライバー?」

  娘に日曜日しか運転しないドライバーの事だよと教える。

「サンデーだよ、日曜日はサゥンデェイ。」

「あ・・え?サンデーって言いましたが何か?って、このバス邪魔」

バス・・・何だっけなんか出てきそうだったけど

どっか行った。

バス?バスで何を連想・・

「サタデー!サタデー!」

ああうるさい・・

----------------------------------------------------------------------

先週娘が中学校に入学した。

あっという間だったなぁ。

そうこうしてるうちいつか嫁に行くんだろうな。

イヤその前に彼氏とか連れてきたらどうしてくれようか。

煮るか焼くか生で3枚におろすか。

いや、彼氏に冷たくすると「パパ臭いから嫌い」とか言われるな。

そのころパパなんて呼ばないか?

「お父さん臭いから洗濯一緒にしないで」

と言われないためにも彼氏とは仲良く・・か?

出来んのか?そんな知ったような口聞く若造と仲良くなんて。

「お義父さん飲みましょう」なんて言われて

若いつもりで負けん気出してすっかり酔いつぶれて

「むしゅめはやらんぞぅ・・」とかテーブルに突っ伏して

真っ赤な顔の若造が娘に

「娘想いの良いお父さんじゃないか」

とか言って

「ねぇ大丈夫?顔真っ赤よ、水飲んで。はい。」

・・って酔いつぶれたパパは放置かよ。

ありえねぇ。

いやいや、その前に高校生になって

「一緒に勉強するから」なんて彼氏連れてきたらどうする?

辞書のエロワードで興奮出来ちゃうような

そんなけしからん血気盛んな男子高校生と密室で

「勉強するんだから部屋に入ってこないでよ」なんて言われたら・・

そんな密室で事件が起きない訳がないだろ。

事件起きたらコナン君呼ばなきやいけないんじゃないか?

妄想爆発な現実逃避気味の感傷に浸りながら銀座線に乗り込む。

今日は入学のお祝いをするので早く帰らなきゃいけない。

途中立ち読みなんかしてる時間ないなぁ。

表参道で南北線に乗り換えて・・今17:35か。

北24条駅まで18:00には着くけど札幌駅で激混みになるなこりゃ・・

ん?地下鉄?・・地下鉄?あー、ちかてつ・・

何だっけ、いつもここで何かに引っかかって

思い出そうとしてもすぐ判らなくなるんだよな。

・・まあいいや。うわ、すごい人・・乗れるのか?

-----------------------------------------------------------------------

息子がサッカーで怪我をした。

6年生最後の試合だったのに何やってるんだ。

頭を打ったので念のため検査らしい。

ゴールポストにぶつかるなんて漫画みたいな・・

会社を早退して病院に向かう。

僕に似てあまり身長が大きくない息子は

野球よりもサッカーが好きだったようだ。

どちらも身長はあんまり関係ないが

隣の子なんかバスケットやってるからか

もうすぐ僕を追い越すぞ。

まあ運動神経は悪くないから好きな事をやればいいとは

思っているけど。

小走りでバス停に着いた。

しかしバスはさっき出たばかりらしい。

次のバスまで40分もある。

タクシーにするか?

でも道が混んでるし・・

地下鉄駅まで走れば10分ほどでいけるはず。

あ?地下鉄?・・

まただ。なんだっけ?「チカテツ」で何か思い出しそう・・

地下鉄・・電車・・バス・・あ、バス?

あ、「バぷ」って・・バスの事を「バぷ」って言ってたのって・・

地下鉄に初めて乗って呆然としてたのって・・?

娘じゃ無い。息子でも無いよな。

夢の中でだっけ?夢での出来事?だっけ?

そう言えば・・あの夢・・?

昔に見たヨッシーハルタって言う家族の夢。

コンクリートの階段を上りながら僕は考える。

目が覚めちゃったって事はそこで途切れるって事だしな。

向こうの世界である日突然僕が居なくなったら

二人はどうするのかな。

まあ・・夢だったら目が覚めて終わりか。

目の前の黒板の横に引き戸がある。

思いっきり引っ張ってみた。

でももし向こうにも世界があってそこで僕も生活してて

今でも向こうで世界が続いていたら?

なんか泣けてきた。

二度と会えないのか。

目の前によだれで所々白くカピカピになってるハルタのシーツがある。

・・・

「バぷ」って言ってるのハルタだよ。

しかもそれ現在進行形だし。多分。

・・

時計を見る。6:10・・

今日仕事だっけ?

そうだ火曜日だ。9時までに旭川行くんだっけ。

誰もいないワイドダブルのベッドが余計広々と見える。

・・二人とも実家だ。

ちょっと待てよ、例の夢の世界に戻って来た?

・・・って訳じゃ・・ないよなぁ。

なんだこの何年も過ぎたかの様なこの充足感と疲労感・・

もう一度時計を見る。

5/24(火)

現実。・・でも?・・現実だよなこっち。

混乱。

なんだこのリアルな「40数年間生きてきた過去」の設定と

「それを前提に過ごす毎日」。

現実の記憶に「それは夢」という設定を足して、

しかも夢だから簡単に納得しちゃって

現実の方を「夢」と思っちゃう・・

・・

わけわかんねー、だってこれ今の状況に当てはめても通用するんじゃね?

・・・

なんか攻撃されてるのか俺?

夢と現実を入れ替わらせようと誰かが攻撃してるのか?

誰かが俺を・・裏返しにしようと・・

・・・・・・・・

苦笑い。

俺、なんか影響される様な物読んだか?

ああ、「泣ける話シリーズ」読んだんだっけ。

あと記憶喪失物読んだ・・・・

あ、異世界物見た・・・

単純・・・過ぎ。