夏雪式のブログ

転生したら世界がカレーだったからアウトドアする。訳がわからないが取り敢えず鶏肉を焼く

ついてくる・・・

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トムとジェリーに人間が顔出して幅利かせるのは許せんあくまでトム目線がいい(仮名)

アレはボクが建築工事の現場事務所にいた時だ。

工期が短く施工も遅れ、朝方帰ることが珍しくない、

そんな現場だった。

そんなある日、これは恒例のことなんだけど

帰りがけに誰とも無く怖い話を始めた。

でもこれは大抵怖い話を少しした時点で終わる。

早く帰りたいのもあるし、何よりほんとに怖くなって来るんだ。

でも今回のは少し違った。

朝方の3時になりかけているのにどんどんと話がでてくる。

疲れていてテンションが上がっているのだ。

背筋がゾクゾクする。でも誰も話を止めない。

みんなの目が時折宙を泳ぐ。何かを見ているように。

話している最中、話を聞いている最中に

ちらっとあらぬ方向を見たりする。

妙に何かの気配を感じる。

いつもはこの時点でみんな帰り始める。

でも今回はまだ話が続いている。

視界の隅を何かが横切る。

季節的に虫は居ない。もう冬の手前だ。

かれこれ30分以上話している。

気配とも言うべき感覚がかなり濃厚になったその時

突然照明がパパッと瞬いた。

でも話は止まらない。止めれない。

部屋の奥の蛍光灯がチラチラしはじめた。

誰もその場を動こうとしない。

ここでそのことに触れるとパニックになる

「何も不可思議な現象など起きていない」空気だ。

目の前の蛍光灯までチカチカと、

切れる寸前のように細かい点滅を始めた。

さすがに誰とも無く席を立ち初めて帰る支度をした。

動きがキビキビしている。

誰も走らなかったけどみんな走り出したい気分だったろう。

ボクは車のエンジンをかけ、まだ暖まってもいないのに走り出した。

未だに背筋がゾクゾク来る。

寒さとは全く異質のモノだ。

しばらく走って車のヒーターから暖かい空気が出始めても

まだそれは収まらない。

いや、事務所の時よりその気配は増しているようだった。

川沿いの道を走っているとき急に街路灯が消えた。

100mと走らないうちにまた消え、

そしてまた・・・

気配はものすごく濃厚だ。

まるで・・そう・・後ろの座席にでも

いるような・・・

耐えきれなくなってボクは大きな声でどらえもんの歌を歌い始めた。

気が紛れるかとも思ったんだけど気配も変わらず

4つ目、5つ目と街路灯が切れていき・・・

何でこんな怖い思いをしなけりゃいけないのか

ボクはとうとう大声で怒鳴り始めた。

だがヘタレな僕は後ろを振り返ることはおろか

バックミラーを見るのすら怖くて

でも怒鳴り毒づきながらようやく大きい通りに出た。

かなり車通りがあり明るいしもう大丈夫だと思ったその時

6つ目の街路灯が切れた。

相変わらず気配はある。

コンビニを見つけあわてて車を降り、

振り返ることもしないで店に駆け込んだ。

店の中のにぎやかな雰囲気とは裏腹に

その気配は未だに僕の後ろにあった。

店内をうろうろしているうち、突然その気配が消えた。

何も買わずにボクは店を飛び出て大急ぎで家に帰る。

家に着いてようやく落ち着く事が出来たが

あの何ともいえない感覚はその名残だけが残っていた。

次の日、仕事帰りにそのコンビニの前を通った際嫌な予感がした。

信号で止まって店を見ていた時、誰かと目が合った様な気がしたからだ。

せっかく逃げたのに見つかったか・・・?

そんな嫌な思いを振り切る様に慌てて家に帰った。

そしてそれからほぼ5日後の休日。

同棲中の彼女が

「最近夜中なんか変な音してたんだけど・・・」

と言いだした。

ボクは帰ったら風呂に入ってすぐ熟睡してしまうので

全然気がつかなかったのだが

なにやら普段は聞こえない音がしていたらしい。

「昨日は無かったけどこないだまで、

パキッとかピシッとかガサガサとか

夜中に下(ロフトの1階)から聞こえて来るんだよね。

誰か居る様な。気味悪かった」

ボクが帰る時間彼女は寝ているので

先日怖い思いをしたその話はしていない。

だがどうやらその音は5日ほど前

コンビニで「何か」と目が合った嫌な感じがした日から、

まるで僕に付いてきた様に

僕が熟睡している間、毎晩下の部屋でガサガサウロウロと

眠りの浅い彼女の耳には聞こえていたらしい。

幸い数日でそれは収まった様だが

一体何が付いてきたのだろうか・・・

現場の近くに有ると言えば

原っぱの真ん中の墓地・・

朽ちかけた何件もの家・・・

近くに有る怪談付きのJR保線区・・・