夏雪式のブログ

転生したら世界がカレーだったからアウトドアする。訳がわからないが取り敢えず鶏肉を焼く

唸るこえ

あれは今年の秋口のことだった。

僕が働いていた夜のお店で温泉に行くことになった。

お店の女の子とお客さんとで登別に行った。

帰り道はいろいろなところに寄って帰ってきた。

そのうちのひとつが北海道秘法館と言うところだった。

エッチな石や動物の交尾など展示しているところで、

みんなで笑いながら見て歩いた。

しかし凄い臭いなのだ。

はく製のにおい。はく製の数も多いので臭いも凄い。

写真撮影禁止だったが写真を数枚写してきた。

その次の日だった。

夜勤が終わって空が明るくなった頃、

布団に入って間もなくだった。

寝返りを打ち仰向けになったその瞬間に金縛りに遇った。

まだ寝てもいないのに・・

ズシ・・と足元に何か重さを感じた。

そんなに重くないものが足元に「いる」。

ぎこちなく体の上を這ってくる。

2本の手で身体を引きずって足の方から頭に移動して・・

右、左、右、左と手の重みが伝わる。

突然唸り声が聞こえた。

玄関のほうからだ。

「ぐるるるる」と言うか「ヴるるるる」と言うか動物の唸り声。

いつもはロフトの二階で寝るのだが

その日は下に布団を引いて寝ていた。

玄関はキッチンカウンターの影になっていて今の位置からは見えない。

唸り声がまた聞こえた。

体を何とか動かそうとするが金縛りのままだ。

そのうちに身体の上を這っている「何か」が胸の上に来た。

見たらヤバイと思って慌てて目を閉じたが

目を開ければ見える位置だ。

息遣いが聞こえそうなくらい近くにいる。

布団の上から僕の顔を覗き込んでいるようだ。

唐突にその「何か」が低い声で

「おまえ等は◎◎△(聞き取れない)だ」

と言った。

そうして金縛りは解けた。

頭はすっきりしている。

当然だ、まだ寝てもいない状態だったのだから。

おそるおそる玄関を覗いて見たが何もいない。

あまりにも怖かったのでまた布団に入った。

寝入りばなにまた金縛りにあった。

また足元から来る。

今度は身体を横にしていたが、その上をふらふら這ってくる。

首をしめられた。それが4回ほど続いた。

玄関と窓に粗塩置いて寝た。

次に目がさめたら朝の9時だった。

だが、多分後のは寝ぼけてたんだと思う。

しかし最初のはまだ眠らないうちに来たのだ。

布団に入ってすぐだ。

しかし、あの重さは、あの大きさは、あの動きは・・・

まるで赤ん坊のようだった。そういえば・・・・

あの秘法館に水子地蔵があった。何でこんなところに?と

笑い飛ばして写真なんか撮ったのだ。

玄関の粗塩はまだ置いてある。