シェーンばあさん。
日曜日だというのに仕事だ。
そしてここ２週間ほど現場で歩きづくめで 病院にも行ってないし、
膝が結構腫れてる。
湿布を貼って現場に出ている。
昼頃、現場から事務所に戻る途中で
ロマンスグレーのご婦人に道を聞かれた。
夕張鉄道のバス停が判らなくなったという。
この辺にはないからもう少し遠くではないかと教えた。
それでもまだ困っていたので近くにある交番を教えた。
で、歩き始めたのだけどいまいち判ってない様子だったので
交番まで付いて行ってあげることにした。
近くに有るビアガーデンから音楽が聞こえる。
昼下がり。おばあさんと並んで歩く大通り。
その途中、おばあさんが道の反対を走る
目的のバスを発見した。
そしてバスを追っかけて走り出した。
一目散に道路を横断しだした。
「危ないですよ」と声をかけたが届かない。
まさに猪突猛進。
じうも膝が痛くて全力で走れないのでとりあえず見守った。
バスが右折する。
一目散に走り出したおばあさんも右折する。
でも車道を走ってる。
脇目もふらずまっすぐ車道を走ってる。
おばあさんはじうからどんどん離れていく。
テレビ塔の下のビアガーデンからトランペットが聞こえる。
「ニニロッソ」の『夜空のトランペット』だ。
うちの親父が好きでレコード持ってたっけなぁ。
信号が青になり後ろから車が来てもおばあさんは車道を走る。
バスはバス停で停まっている。
おばあさんの姿はどんどん小さくなっていく。
『皆殺しの歌』で小さい俺は怖くて泣いていたらしいや。
皆殺しの意味を母親から聞いて、その音楽が怖くて泣いていたらしい。
おばあさんの後ろに車の列が出来ている。
『夜空のトランペット』が切ないメロディーを奏でる。
どんどん遠くなっていくおばあさん。
『夜空のトランペット』が哀愁に満ちたメロディーを奏でる。
「シェーン！！カムバーーーーック！！！」
って口から出そうになった。
つうか元気すぎじゃね？おばあさん。
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